違う病院に来た4年目医師

病院にそろっている薬のラインナップは、その病院の歴史であると感じることがある。その瞬間に声の大きさを持った医師が「入れろ」と言った薬が加わり、それらの多くはそのまま残るからだ。当然、医学的なバランスとはかけ離れて、やたらに充実していたり、やたらに不足していたりするのが混在しているのが現実だ。
小規模なところへ初めて来て、薬の一覧をざっと眺めて、種類から考えて明らかに足りないものがあるんだろうなと思ったときに、これが足りないとか、これが重複しているとか、これを入れた方がいい、などと言える分野もあれば、なんか足りないけどどうなんだろうなー、となる分野もあるのが正直なところだ。
どの分野においても、初療において最低限のことはできるという自負はある。しかしそれが、薬の種類が微妙に変わったときにはちょっと困る分野もあるし、このラインナップはこう変えた方がいいけど、今ある中ではこうするのがまぁ最善でしょう、と自信を持って言える分野もある。4年目になって、そういう強弱が出てくることこそが、専門家の第一歩であり、成長なのではないかと思う。