都会の研修医を減らそうとする動き

都市部の研修医の募集定員を減らし、あふれた人を地方で研修させようとする動きが、実はある。浅はかとしか言いようがない。
地方でのトレーニングと、都市部でのトレーニングでは、効率が全く異なる分野はいくらでもある。救急という分野を例にすると、救急車が1日に何十台も来るような都市部の病院でトレーニングした後で、1日に1,2台の救急車しか来ない地方の病院に行ったら対応できるが、逆の順序では不可能である。経験数がものを言う段階では、数が集まる研修の効率がいいのは明らかだ。
病院として、地方の病院をどのように支援しているのかを評価するべきである。研修医の地域医療研修をただの見学にしているのか、研修医とは言えできるだけ貢献できるような方策をとっているのか。研修医に限らず医師派遣を行っているのか。人材交流などをシステムとしてやっているのか。
多くないとは言え、地方の病院で初期研修した人がある一定数いるわけだが、その人たちが研修を終了した3年目以降に地方に残っているのだろうか、残ったという話はほとんど聞かない。初期で無理矢理地方に行かせても結局残らないことが高い確率で予想されるのに、都市部の研修病院だけ研修医の定数を減らしていって、地方の研修病院はそのままという作戦は、仮にうまく研修医がシフトしても2年でいなくなるだけなのではないか。