医学部を5年にして当面の医師確保

医学部を5年にしても医師確保にならないことを示す。年に100人新たな医師が誕生し、高齢などで年に100人ずつやめていく、4000人の医師集団(100人×40年)を想定する。改正された初年度は、5年生と6年生の2学年分の200人が医師になり、その集団は4100人になり、確かに医師数は増加する。翌年、5年生100人が医師になり、これは改正前と変わらないため、医師数は4100人のままである。次の年も、その次の年も、4100人のままである。
当面と言うのは、この100人のことなのだろうか。同じ論理で医学部を4年にしたところで、現在との差分である200人が(前借りする構図で)1回だけ増えて、それ以後医師数は全く変わらない。
そもそも、学生の教育も満足にできないところで、いきなり2倍の新人を満足に指導できるとは思わないが、免許さえあれば未熟な人間が臨床の現場で働いた方がいいということなのだろうか。臨床の現場では、指導体制も整っていないのに、知識も足りない人が「病棟管理や日常の雑用」をやっていた方が、チーム医療として戦力になるというのだろうか。患者にとって、その方がいいということになるのだろうか。
正直、卒前教育がうまくいっていないところのデメリットをもっともらしく書いているだけに思える。卒前教育が見学型ではなく参加型でうまくいっていて、実際卒後研修でも最初から使える人が多いと言われているような大学を、一度見に行ってはどうだろうか。それらの大学では、学生時代に下手な研修医よりも多くの「各種の雑用」をやっていて、できないのは「処方」くらいだと言われているが、チーム医療の中で医師確保と同じような効果があったとは全く聞いたことがない。
http://blog.medu.jp/2006/05/post_91.html