心肺停止「でも」受け入れ拒否

心肺停止「だから」受け入れ拒否しているという、ごく基本的なことが理解されていないとこの議論を始めることは難しい。
地方へ行って、その地区にその治療をできる病院が一つしかなかったら、受け入れを拒否する事態は起こらない。無理をしてでも受けるしかないからだ。そういう無理に疲れて医者がやめてしまうという崩壊の図はあるが、それは「一つしかない」から「一つもない」へと変化してしまうという、別の問題だ。
心肺停止は手がかかる医療であり、万全の人手がそろった状態で診療したいと誰もが思っている。その時違う患者を診ていて「万全ではない」時に、他の病院ならばより万全に治療できるのではないか、と思うと、いい医療を提供しようとするがために、そこでは断ることになる。その地区で病院がたくさんあって、どこかはうちよりましだろうとみんなが思えば、俗に言うたらい回しが完成する。
救急を必要とする人のニーズと、救急医療を提供するパワーのバランスが崩れているから、こういうことが起きてしまう。救急車利用を本当に必要な人に限定してニーズを減らすか、提供するパワーを増やすか、それとも「万全ではない」体制でも医療を提供してよしとするか、そういう議論をしない限りは全国で同様のことが起きることは火を見るよりも明らかだ。
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