北海道の事情

私の住む地域では、仮に年間300例以上の施設に症例を集約するとすると、県内に3施設しか必要とされません。この場合施設間距離は車で1.5〜2時間となります。「車で5−20分のところにしっかりした施設がある(米田氏)」というような状況は都会だから可能なことで、日本の多くの周辺県では、症例の集約により我が県と同様の事態が予想されます。
心臓手術の経験が、ある一定の数以上になるように施設を限定しようという話。例えばそれが北海道のある地域だと、年間100例だとしても今よりかなり施設は少なくなり、施設間ではなく最寄りの施設までの距離が車で3時間とか言っている現状を、さらに悪くすることになってしまい、いかにも都会的な発想だと考える。海外留学をして、今は年間50例でもいい治療成績の外科医も知っている。
地域医療の本質は、都会(ひいては海外)で身につけた技術を、地方で放出することなのではないかと思う。例えば救急の対応を考えると、田舎にいては何年経っても無理な経験を都会で積み、そういう対応をそれこそ毎日でもできるだけの技術を身につけて、それから田舎へ行ってたまに来るそういう患者の対応をするという、ものすごく贅沢な構図。北海道の地域医療の政策などを見ていても、どうもこの辺わかっていない。都会で毎日できるだけの技術を身につけた人が、どうして好んで田舎へ行くのかという。
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