守秘義務とか

この間実習中に、69歳の男性の患者さんが病院で血を吐いて亡くなった場面に遭遇した。聞けばずっと肝硬変で何度も治療を勧められていたが、頑なにそれを拒否して、ここ何年も病院に来ていなかったという。確かに倒れた時の対応は、必ずしも素早いものではなかったところはあったが、一緒にいた家族が「処置が悪かったから死んだんだ、訴えてやる」と言っているのは、全く相手にする価値もない。そんなのは肝硬変を放置していたただの自業自得だと思う。
さて、↑上に書いたもの↑は全くのフィクションであり、ただの思いつきであり、全く事実にはないことなのだが、そういうことを書いた場合は責められるのだろうか。守秘義務に反しているような印象を受けるが、誰の秘密も漏らしていないわけであるし。また、書いている内容が、医学生としてあるまじきものであり、という非難は、どうなのだろうか。それが、医者とか医学生ではなく、たまたまそこに居合わせた人とか、そういう話を耳に挟んだ人が「こんなことがあったと聞いたが、それは自業自得だろうと思う」と書くのはどうなのか。すると、医者とか身分を明かさずに書いていればどうなのか。
私も実習で感じたことを全く書かないことはないが、そういう配慮をしていたり、その当人にその日読まれても構わない、というラインを自分で作っているつもりである。しかし、本人が特定できない形でなら書いてもいい、という発想が正しければ、最初に書いたでたらめな例を書くことも許される、ということになるのか、それとも違う判断がそこには働いてくるのか。