宇和島の件にコメントしない理由

批判するだけなら非常に簡単なのだ。例えば「同意書を取らなかった」という点について、馬鹿なことをしたものだとか、自分なら取るのに、と言うことは非常に簡単で、自分が正当のように思えるし、賛同も得られやすいと思われる。
しかしながら一方では、同意書を取っていようがいまいが裁判では無力だと言うことも知っているし、例えば印鑑がないと有効じゃないと言う医療側や家族のために治療開始が遅れたり、納得しようがしまいが早く印鑑を押させるのを重視するような説明をする医者を目にしていたりすると、同意書を取るべきだと主張すること自体の意味がかすんでくる。
そもそも移植医療というのが、誰かの提供があって初めて成り立つという「歪み」を抱えた医療であり、移植医療を諸手を挙げて推進すべきなのかどうかに疑問があり、しかし一方では、目の前の患者さんを救いたいと思っていて、そこに救える技術がある時に、理屈をこねてそれをためらうべきなのか、そういう悩みにも日々少なからず向かい合っている。
http://d.hatena.ne.jp/zaw/20061106#p1